【外科クイズ4】
Q. 脾臓全摘出手術における血管の結紮部位でもっとも正しい記述はどれでしょう?
- 脾動脈から分岐する膵動脈を結紮しても膵左脚の血流は大きく損なわれない。
- 脾動脈から分岐する左胃大網動脈、短胃動脈を結紮しても胃の血流は大きく損なわれない。
- 出血が多い場合には腹腔動脈を速やかに結紮するとよい。
- 出血が多い場合は脾門部になるべく近い位置で結紮をすると、最も素早く脾臓を摘出できるためよい。
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獣医の外科クイズの答え
解答:2
解説:
今回のクイズの正答率は35.7%でした。
脾臓への血流は、腹大動脈から分岐した腹腔動脈から分岐した脾動脈によって供給されています。脾動脈は途中で膵動脈、胃大網動脈、短胃動脈に分岐します。また脾動脈は脾臓近くで細かく分岐して脾門部より脾実質に進入します。
1. 膵動脈へ分岐する前に結紮をしてしまうと膵臓左脚の血流を阻害し、膵壊死を引き起こす恐れがあるため、この位置では結紮してはいけません。
2. 脾動脈から分岐する左胃大網動脈、短胃動脈は、結紮しても胃の血流は大きく損なわれない事が報告されています(Hosgood G et al 1989)。脾動脈を左胃大網動脈、短胃動脈に分岐する前の位置で結紮することで速やかな止血と手術時間の短縮が期待できます。
3. 腹腔動脈は肝臓、胃、十二指腸など上腹部臓器への主要な動脈血管のため、結紮できません。
4. 脾門部に近い位置で結紮することで他の臓器への血液供給を阻害する事無く切除ができますが、細かく血管を結紮していく必要があるため時間がかかります。
特に、脾臓から持続的に出血が続いている場合には、脾門部で細かく血管が分岐する前の位置で結紮することで、速やかに止血が可能です。
以上より、2が正解となります。
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