永田 雅彦 (ながた まさひこ)
獣医師、博士(獣医学)、アジア獣医皮膚科専門医
略歴
日本大学卒業後、Cornell University皮膚科研修、日本獣医畜産大学研究生を経て、1994年どうぶつ皮膚病センターを設立
1997年ASCを設立、2011年どうぶつの総合病院皮膚科部長、診療統括部長、副院長、取締役(診療、教育研究、人事、広報担当)に就任
現在日本獣医皮膚科学会会長、アジア獣医皮膚科専門医協会副会長
どうしてこの専門科目を選択したのですか?
永田先生
大学を卒業して実臨床に出た時、最もよくみたのが消化器と皮膚のトラブルでした。
皮膚は原因がわからず対症療法で様子をみることも少なくありませんでした。
私にとって、皮膚は消化器以上にストレスでした。当時日本にはまだ専門医の「せ」の字もなく、自分の知識やスキルのアップを目的に大胆にも渡米してしまいました。
これがきっかけで皮膚科にはまり、その結果として全科に先駆けて日本初の専科クリニックを立ち上げることができました。
専門医療に対する先生のお考えを聞かせてください。
永田先生
医療の複雑さは、自然科学の複雑さだと思っています。
当然ながら、一人で太刀打ちできるものではありません。個々の強みに合わせた業務の役割分担が必要です。
まずはじめにどの組織に異常があるのか、またどの程度緊急性があるか、あるいはその症状は日常的か否か、これらの判断を一次診療が担うことになると思います。
その後ろで一次をサポートするのが専門医療だと思っています。一次は幅広い業務、二次は掘り下げた業務ですよね。
ジェネラリストとどのような関係をもちたいですか?
永田先生
先のお話しとダブりますが、一次と二次は別々に存在するものではなく、両方が対になってはじめて完成です。
双方の理解と協力をもってチームプレーが完成すると思っています。
私は大学卒業後3年間の一次診療を経験させていただき、現場の苦労に触れさせていただきました。
一方、一次の先生方は二次の経験がなく、そのイメージをもつのが大変だと思います。
専門医療に携わるものは、いかに二次診療のイメージをもってもらうかが大きな課題です。
ジェネラリストの先生方と、質の高いどうぶつ医療を提供できるチームメイトの関係をもちたいです。
やりがいを感じるのはどんな時ですか?
永田先生
動物が良くなった時、ご家族が喜んでくれた時は、素直に嬉しいです。
また自分のもっている知識や技術、そして新規知見を使って、仲間や後進が地域や時代を超えて活躍してくれると、別の次元でうれしいです。
もし、もっともっと大きなやりがいを感じるとしたら、医学や社会が人類の幸せにどうぶつ医療の存在が不可欠だと言ってもらえた時じゃないかなと思っています。
以上、皮膚科の専門医、永田先生へのインタビューでした!