専門医療を学びたい方はこちら

炎症性乳癌 I 動物病院の病理科のつぶやき vol.07

 


 

炎症性乳癌は、進行が早く、予後不良の臨床経過をたどる腫瘍で、乳腺の浮腫や紅斑、潰瘍、硬結、熱感を伴います。(Small Animal Clinical Oncology, 2013)

名前に”炎症”と入っていることから、激しい炎症細胞の浸潤を伴う乳腺癌と誤解されている方もいるかもしれませんが、実は真皮のリンパ管内に腫瘍塞栓を形成することによって、炎症のように浮腫を引き起こす病態です。(Tumors in Domestic Animals, 2017)

リンパ管が重度に拡張し、腫瘍細胞が多数リンパ管内に入り込んでいる様子が認められます。このように腫瘍細胞がリンパ管の中に浸潤しているか否かは、細胞診では判断することができず、病理組織検査でしか確認することが出来ません

臨床的には、上述の臨床徴候や場合によっては皮膚生検で確定診断を下しますが、診断の段階ですでに遠隔転移をしていることが多く、このような症例では外科不適応と判断されることもあります。

 

一般的な乳腺腫瘍でも、二次的な炎症を引き起こすことは多々ありますが、これは炎症性乳癌とは異なるので、非常に混乱を招きやすい名前です。

このような症例に出会うと、担当医がどのようにご家族の気持ち、患者様の身体を大切にケアするか思い悩む姿を目にします。

限りある命だけれど、限りある命だから、大切に1日1日を過ごす、ことにつながりますように、と想いを送ります。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です